前年度の研究に基づき、本年度は以上の研究を行った。 1)中世ブンス語版ジャン・ブレット『典礼大全』の校訂版作成の作業を前年度に続いて行い、音声学的・形態論的な視点を中心にして研究を行うと同時に、注目にあたいする単語・表現の収集を続行した。フランス語史の観点から見て従来の知見を刷新するような初出例を多く発見することができた。 2)各種辞書・方言地図を活用し、収集した語彙の地理的・歴史的な意義を明確にした。様々な辞書の批判的な検討により、多くの補足と訂正を加えることが可能になった。 3)関連する中世フランス語・ラテン語作品の収集を続け、校訂版の批判的検討を行い、多数の書評論文の形で発表した。 4)8月の国際ロマンス言語学・文献学学会(英国、アベルストウィス)において成果を報告し、ウェールズ大学教授デヴィッド・トロッター氏をはじめとする海外の研究者と研究打合せを行った。
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