今年度は情報検索、文献整理のための研究環境のいっそうの整備、強化を図り、昨年度の成果を踏まえて、さらに次のような作業を行った。 1.近代ロシア文学において極めて重要な役割を果たした18世紀後半から19世紀前半のロシア文学・文化関係の一次文献、研究文献を購入した。また今年度は特に、ロシアだけでなく、ヨーロッパ文化全体を視野に入れて関連文献の収集を行った。 2.引き続き18世紀ロシアにおける世俗文学の誕生と発展の経緯を、当時の主要な読者でありパトロンであった上流階級の生活との関わりに於いて考察した。また、作品に表現されている当時の日常生活の描写を手掛かりとして、当時のテクストにおける「書く行為」「読む行為」、及びそれらと少なからぬ関係を持つ「見る行為」の記号としての意味を考察した。 3.18世紀末から19世紀初めの文学作品の紹介と分析を行い、ロシア近代文学の発展のプロセスを明らかにする手掛かりとした。この作業は来年度も継続して行う予定である。 4.大学院生と共同の研究会を継続して行い、18世紀から19世紀初頭のロシア文化の諸問題について意見交換を行った。研究会には本学の他研究科や他大学からの参加者もあった。 5.2004年9月に東京大学本郷キャンパスの山上会館において日本18世紀ロシア研究会第2回総会・研究発表会を開催した。またその後も持続的に会の運営に協力し、ニュースレターの発行も行った。
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