前年度の研究、調査を踏まえて、平成17年度は次のような作業を行った。 1.18世紀ロシアに関して、平成15、16年度に入手できなかった文献を補足収集した。内容は文学、文化についての研究文献が中心である。 2.18、19世紀ロシアにおける文学作品の発表とそれを受容するシステムを明らかにする作業の一環として、ロシア皇室が担ったパトロンとしての役割、サロン社会における作家とパトロンの関係、作家と19世紀の総合雑誌発行者の関係などを考察した。また西欧のパトロン制度や音楽、美術分野におけるパトロン制度についても調査し、ロシア文学における事情との比較考察を行った。 3.研究成果の一部を雑誌に掲載した。現在発表準備中のものもある。 4.日本18世紀ロシア研究会の運営に協力し、18世紀ロシア研究者との研究交流を継続、発展させた。第3回研究発表会を開催し、ニューズレターNo.2を発行した。この研究会は言語、文学、文化、歴史などジャンルを超えて18世紀ロシア研究者が情報交換と共同討議を行う場であって、本研究を推進する上で大きな役割を果たしたと考える。 5.今年度は本研究の最終年に当たり、現在、これまでの作業をまとめて研究成果報告書を発行するための準備を行っている。
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