研究初年度の本年度は、イギリスとアメリカそれぞれの高等教育機関において、どのような文学・言語・メディア教育がなされているかを探るための第一歩として、主に基本的文献やメディア関連資料の収集を開始した。具体的には研究代表者(林)がアメリカの大学・大学院の文学・教育カリキュラムや教材およびそれらに関連する資料収集を、研究分担者(斎藤)が同様のことをイギリスの高等教育機関に関する資料収集を行った。(一例を挙げると『ティーチング・リテラチュア』(ショワルター)、『ザ・イングリッシュ・スタディーズ・ブック』(ポープ)、『ディシプリニング・イングリッシュ』(シャムウェイ編)など。) 近年、文学教育、言語教育、メディア教育が融合する傾向にあるので、資料は、伝統的な書籍からビデオ教材、DVDにまで多岐におよんだ。詳しい調査結果は、来年度に行う予定の資料の比較検討を終えてみなければなんともいえないが、仮説としていえることは、英語を最大の文化資源とするイギリスが文学・言語・メディア教育において中心的な役割を果たすべく、ブリティッシュ・カウンシルなどを通じて、積極的な世界戦略を展開しているのに対し、アメリカは、むしろ国内の文学・言語・メディア教育の制度作りに専心しているということである。 本研究にとって資料収集は基本であり、また新しい資料も出版されているので、来年度もまた引き続き資料収集に力を入れることになる。それと同時に今年度はほとんどできなかった資料の整理や分析も開始する予定である。
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