・19世紀の「読書の文化史」に関しては、この間、文学テクストを中心としてさまざまな資料の収集をおこなって、それらの解読にかなりの時間を割いてきた。しかしながら、わが国は、多数のフランス文学研究者を擁しているにもかかわらず、こうした分野に積極的な関心を抱く者はまだまだ少ないのが現状である。そうした事情もあって、この学問領域の面白さ・困難さといった舞台裏をも含めて、NHKテレビのフランス語講座の雑誌にエッセーを連載してみた。 ・本研究の実践態として、研究代表者は、《ゾラ・セレクション》全11巻(藤原書店)の共同編集者をつとめている。2005年度は、アラン・コルバン、モーリス・アギュロン、アンリ・ミットランといった面々をも含む、日仏共同の論文集を上梓することができた。今後の研究の基礎となる文献だと確信している。 ・これは19世紀関連ではないが、《プランタン=モレトゥス博物館展》(印刷博物館、2005年3月〜7月)の企画・構成にあたり、カタログ『印刷革命がはじまった』(208p.)の共同編集・執筆をもおこなった。数年がかりの準備を経て実現した、日本で始めての展覧会であって、期間中に、アントウェルペンの「プランタン=モレトゥス博物館」が世界遺産に指定されるという幸運も重なった。
|