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2003 年度 実績報告書

ポストモダニズム以降の観点による児童文学におけるセクシュアリティの研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520161
研究機関一橋大学

研究代表者

三浦 玲一  一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 助教授 (70262920)

研究分担者 渡辺 美樹  名古屋大学, 大学院・国際言語文化研究科, 助教授 (90201235)
戸田山 みどり  八戸工業高等専門学校, 総合科学科, 助教授 (40342448)
川端 有子  愛知県立大学, 外国語学部, 助教授 (80224830)
キーワード児童文学 / 英米文学 / フェミニズム / ジェンダー研究 / イギリス:アメリカ合衆国:日本
研究概要

論文発表数には若干の差が出たが、研究会を重ねることにより、相互の議論は着実に進展した。
川端は、フランシス・ホジソン・バーネットを中心に、世紀転換期から20世紀初頭の英米における、児童へのジェンダー化された視点についての調査を進めた。これは、単に、バーネット作品におけるジェンダー表象の調査ではなく、その作品におけるクィアネスを確認した後に、そのクィアネスがどのように受容されていったのかを、即ち、それがどのような男女の二項対立の中に回収されていったかを調査することで、当時の(児童)文学におけるジェンダー言説の形成と変遷をたどったものである。
三浦は、既存の文学アカデミズムのキャノンのスタンダードに乗らない作家について、シリアスな文学とそうでない「児童」、あるいは「ヤング・アダルト」、文学の境界線上に位置付けられる作家として捉え、彼らのクィアな傾向を確認すると共に、その彼らの傾向が、「深み」を生成せしめる読みから離反する傾向を持っていること等を、議論した。
基本的に、対象とする小説テキストの「新しさ」を論じる川端、三浦の議論に対し、渡辺は、例えば、ディズニーの「美女と野獣』のプロットが、ギリシャの古典古代の時代からのモチーフのどのような反復であるかを論じて、前者の議論の整合性について、批評的な視点を投げかけた。
児童文学における伝統の反復の構造を指摘することは、個々の作品の「新しさ」と「古さ」を客観的に捉えるには、極めて有効な視点である。このようなアプローチが提出する問題は、最終的に、正しい歴史の文脈のなかで、個々の作品を具体的に把握することによってしか解決されえないが、戸田山の『ちびくろサンポ』等についての日本の受容史研究は、今年度においてはまとめたかたちで発表されることはなかったが、その貴重な具体例となろう。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] 川端有子: "「美しい野蛮人』と「独身貴族」?バーネットとドイルの大西洋間結婚のプロット"愛知県立大学外国語学部紀要(言語・文学編). 第35号. 37-59 (2003)

  • [文献書誌] 川端有子: "セドリックをジェンダー化する??『小公子』の批評的受容をめぐって"Tinker Bell. No.49. 15-31 (2004)

  • [文献書誌] Ariko Kawabata, Michiyo Hayashi: "Children's Literature Research in Japan"Children's Literature Association Quarterly. Vol.28,No.4. 50-55 (2004)

  • [文献書誌] 川端有子: "ロマンス読者という装置?フランシス・ホジソン・バーネツト『上流階級の女』を読む"愛知県立大学外国語学部紀要(言語・文学編). 第36号. 1-15 (2004)

  • [文献書誌] 渡辺美樹: "「エロスとプシケー」から「美女と野獣」へ"児童文学論叢. 第8号. 31-40 (2003)

  • [文献書誌] Reiichi Miura: "On the Globalization of Literature : Haruki Murakami, Tim OユBrien, and Raymond Carver"Electronic Book Review (http://www.electronicbookreview.com/v3/servlet/ebr?command=view_essay&essay_id=miuraint). (表記なし). (2003)

  • [文献書誌] 川端有子(英語圏児童文学研究会編): "英語圏の新しい児童文学<クローディア>から<ハリーポッター>"彩流社. 357 (2003)

  • [文献書誌] 三浦玲一(平石貴樹, 宮脇俊文編): "レイ、ぼくらと話そう?レイモンド・カーヴァー論集"南雲堂. 282 (2004)

  • [文献書誌] 三浦玲一他6名編: "文化アイデンティティの行方"彩流社. 456 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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