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2003 年度 実績報告書

西洋古典文学における「変身物語」と、近代西欧文学におけるその受容

研究課題

研究課題/領域番号 15520163
研究機関金沢大学

研究代表者

安村 典子  金沢大学, 工学部, 教授 (20293376)

キーワード変身物語 / アントニーヌス・リベラーリス
研究概要

現存する最古の変身物語である、アントニーヌス・リベラーリスの『変身物語』(AD2世紀、原文ギリシア語)について研究した。
本書には比較的短い41の変身物語が収められている。これらはひとつの統一的思想に基づいて編纂されているというよりはむしろ、個々の変身物語の、カタログ的な傾向をもっている。物語を掲載する順序についても、前後の物語との因果の糸はみられず、それぞれ独立している傾向が強い。この点は、後のローマ時代に書かれたオウィディウスの『変身物語』と大きく異なっている。話の内容としては、人間が鳥に変身する物語が多くの割合を占める。興味深いのは、変身の理由が、大別して2つに分けられることである。ひとつは何らかの悪行に対する懲罰、いまひとつは死の運命を免れるための、救済や慰めによる変身である。この問題は今後さらに詳しく検討し、古代ギリシア人の思想のなかで、「変身」の概念がいかなる意味をもつのか、ギリシアの叙事詩や悲劇とは、どのような関わりをもつのか等の点について考察を続けたい。
本書はこれまでに一度も日本語に翻訳されたことがないので、これを翻訳し、出版する準備も進めている。オウィディウスの『変身物語』にも多大な影響を与えたとみられる本書が出版されれば、ヨーロッパにおける変身物語の源流を探るうえで、貴重な資料となると期待される。本文の翻訳作業はほぼ終わったので、来年度は、訳注をつけ、解説を記す作業を進めたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 安村 典子: "『オデュッセイア』第8巻の問題"西洋古典論集. 20. (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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