研究概要 |
本年度は,主に本研究課題を遂行していく上で必要不可欠な一次資料および関連文献の発掘収集を精力的に行った。とくに吉田と滝澤はフランスにおいて日本では入手困難な一次資料の調査収集や現地での実地調査を行い,貴重な文献等を入手した。まず吉田は,19世紀パリの民衆的シャンソン資料を収集するとともにシャンソン作家たちの文献調査を行った。滝澤は,フランス・レアリスム小説に関する諸文献の収集を行うとともに,19世紀当時のノルマンディー,ブルターニュ,イル・ド・フランス地方の庶民や農民の暮らしぶりの実態についての現地調査や関連資料の調査収集を行った。これらの資料は今後の本研究に多いに役立つことが期待される。また,本研究は4名の共同研究の形をとっており,研究打合せをかねた研究会を2回開き,それぞれのテーマについて活発な議論を重ねた。1回目は平成15年6月1日に信州大学人文学部において三木原と吉田が研究発表を行い,2回目は同年8月6日に白馬のあぜくら山荘において山本の研究発表を行った。 また,資料収集と平行して,それぞれのテーマに沿った研究も可能なところから同時に進めていき,その成果は図書,論文,学会発表などにつながった。その主な成果を挙げれば,山本の『南仏オート=プロヴァンスの光と風-ジャン・ジオノの故郷を旅する』(彩流社刊,2004年1月31日発行)や三木原や滝澤の諸論文,吉田の学会発表「19世紀フランス詩における民衆的シャンソンの影響」(平成15年11月8日・9日神戸大学において開催された日本音楽学会での発表)などである。 このように,本研究の初年度の成果は着実にあがっており,今後は収集した資料の分析を行い,これまでの成果を踏まえて次年度の研究に生かしていきたい。
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