研究課題
基盤研究(C)
近代初期英国における表象文化のマトリックスである詩学(poetics)を数秘学(numerology)の視座から分析し、さらに当時の詩論および文芸作品を対象にして、数秘学を基軸に据えた空間論的分析を行った。具体的な研究成果は以下のとおりである。1.シェイクスピア(Shakespeare)の『ロミオとジュリエット』(Romeo and Juliet)において、妖精の女王マブについての台詞から析出される重層的な文化的コンテクストが、W・サイファー(W.Sypher)が論じているような、ルネサンス期イタリア絵画を連想させる、二項対立と幾何学的解法に基づく劇のプロット・アクションの構造を解体させる様態を解明した。2.『ロミオとジュリエット』はコーラス(Chorus)が語るソネット形式のプロローグ(Prologue)や、舞踏会の場で恋人たちが交わすソネット形式の台詞が明確に示すように、14という数が基調となった劇である。そして近代初期英国において思春期への入り口と考えられてきた14歳の誕生日を目前にしたジュリエットの年齢13こそが、本劇における理想的・調和的数14に満たないという点で彼女の悲劇性を暗示していることを、当時のチャイルド・マリッジ(child-marriages)の慣行に照らして解明した。2.近代初期の文化・思想を特徴づける「楕円幻想」(the cult of ellipse)を払拭するために考案された線遠近法(the linear perspective)の理念が、シェイクスピアの『テンペスト』(The Tempest)において宮廷仮面劇の中枢概念として援用されたとき、その理念自体が解体され「楕円幻想」が再現・再演されることを明らかにした。
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名古屋大学文学部研究論集 52
ページ: 1-8
The Journal of the Faculty of Letters, Nagoya University. Literature 52
名古屋大学文学部研究論集 51
ページ: 37-49
The Journal of the Faculty of Letters, Nagoya University. Literature 51
名古屋大学文学部研究論集 50
ページ: 51-61
The Journal of the Faculty of Letters, Nagoya University. Literature 50