研究課題/領域番号 |
15520167
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小田 敦子 三重大学, 人文学部, 教授 (80194554)
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研究分担者 |
藤田 佳子 東大阪大学, 短期大学部, 教授 (60079085)
武田 雅子 大阪樟陰女子大学, 学芸学部, 教授 (30024475)
野田 明 三重大学, 人文学部, 助教授 (40218326)
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キーワード | エマスン / ホーソーン / メルヴィル / ソロー / ディキンスン / ホイットマン / ロマン主義 / 象徴主義 |
研究概要 |
6月末に海外協同研究者のアニタ・パターソンを交えた第1回の研究会では、彼女の著書、From Emerson to Kingの方法論について議論し、また、"The Poet"を精読し、エマスンの言語観や公共空間をつくる能力について議論するなかで、テクストとテクストとの間にある批評意識、あるいは、アメリカ・ロマン主義を文化史の視点から考える上で、言語のもちえた革命的な力を問題にする方向を確認した。以後の月例の研究会では、Essays, First Seriesやその他初期のエッセイを順次議論したが、ホーソーン、メルヴィル、ソロー、ディキンスンの語彙の少なからぬものが、エマスンの著作の影響を考えると理解しやすいことを発見した。また、エマスンの講演者としての技法からは、当時の常識への予想以上に幅広い批評が見られ、アメリカの19世紀前半という時代を知る上でも、エマスンという窓口の有効性を再認した。 以上の点を実証的に検証するため、9月には野田が、12月には武田と小田がボストン大学でパターソンに会い、毎月のメイルを介しての議論を補い、ハーバード大学やアマスト大学で、The Dialが発行される文脈となった欧米内外の著作についての調査、資料収集を行った。また、イタリアのエマスン学会で招待講演を行ったパターソンの報告を受けた。 エッセイについての議論のなかで「逸脱」ということが重要な概念であることがしばしば指摘された。副題に「<旅行記>からの逸脱」をあげた藤田のソロー論、武田が翻訳の過程で注目したディキンスンの"circumference"という言葉の独特の用法、小田の"The Old Manse"論における、家と川との対比の指摘などは、そのテーマに関わる。小田の論文の一部は、2004年7月に開かれるホーソーン生誕200年を記念するHawthorne Society Conferenceに採択され、そこでも発表される。
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