2004年度はこれまでの研究成果を一冊の研究書にまとめ、九州大学出版会より『ナチスと闘った劇作家たち』(364頁)として刊行した。本書は日本学術振興会の刊行助成(学術図書)を受けた。 内容は一章、亡命文学論序説、二章、ユダヤ人迫害(一)『人種』(F.ブルックナー)、三章、ユダヤ人迫害(二)『マムロック教授』(F.ヴォルフ)、四章、日本の悲劇『兵士タナカ』(G.カイザー)、五章、亡命の道行『ヤコボフスキと大佐』(F.ヴェルフェル)、六章、抵抗運動『非合法者たち』(G.ヴァイゼンボルン)『愛国者たち』F.ヴォルフ)、七章、歴史的想像力『英雄的喜劇』『ニューオーリンズのナポレオン』(G.カイザー)、八章、運命をめぐるドラマ『メデューサの筏』『オルゴール』(G.カイザー)、九章、ゲオルク・カイザー-表現主義作家の栄光と苦悩、十章、第三帝国の亡命、および参考文献。 本書にたいする書評が『読書人』および『図書新聞』に掲載され、「亡命文学研究の枠組みを示すと同時に案内の役割を担う。」「ナチス時代のドイツの政治、社会に関心のある人にとっても本書は有益で一読をすすめたい。」(『読書人』、2005年1月7日号)等と評価された。 本書に関して、全国FM放送系列およびケーブルテレビネットワークの番組iivブックラウンジで著者本人による紹介番組の収録を行い、放送された。 さらに広島大学総合科学部「人間文化研究」13号に「第三帝国時代の亡命者をめぐる社会的考察-史実編(二)」を掲載した。 また、図書新聞に関連する研究書の書評を三編掲載した。
|