本研究では20世紀のドイツと日本に決定的な影響を与えた戦争をめぐる文学を究明、考察した。ドイツは二度の世界大戦の震源地となった。それゆえ多くの戦争文学や戦争を背景とする作品が書かれた。それらは戦争および時代の記録として重要であり、多様な側面を持つ。 本研究は第一次大戦の戦後であるとともに第三帝国時代め前史としてのヴァイマル共和国時代以降に活躍した作家、芸術家達の生涯と活動の軌跡、作品と社会状況の相互関連を学際的に究明、考察した。ヴァイマル共和国時代から第三帝国時代後にいたるドイツの戦前から戦後における戦争をめぐる文学を通して社会と人々の意識の変化を捉えた。 そして20世紀のドイツを中心に日本を含む作家達は戦争および戦争を生み出す社会とどのように対峙し、どうそれを捉え、表現してきたかを考察した。 本研究では彼らめ境遇の変化を辿り、作品を個別に取り上げながら、1920年代から第二次大戦以降にいたるドイツ文学の新たな水脈をとらえた。 一昨年度、ドイツ(ベルリン、ミュンヘン)および東欧圏(ポーラシド、チェコ)各地を巡り、ナチス政権下において設置された強制収容所を調査した報告を今年度まとめた。 また、20世紀ドイツを代表する女性彫刻家ケーテ・コルヴィッツの生涯と作品を扱った評伝を書評に取り上げ、その意義を論じた。
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