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2005 年度 実績報告書

トマス・ハーディの作品における時間と二重性の自己の問題

研究課題

研究課題/領域番号 15520185
研究機関徳島大学

研究代表者

宮崎 隆義  徳島大学, 総合科学部, 教授 (80157627)

キーワードトマス・ハーディ / Thomas Hardy / 時間 / 二重性 / 自己
研究概要

トマス・ハーディの小説について、時間の進展に応じて変容する人間の、特にその内面と、時間の進展によってすり替わり繋ぎ替わる人間関係という視点からさらに論考を加えようとした。平成17年度は、長編作品研究の補完的研究として、短編小説「リールのバイオリン弾き」を対象とした。これまでに短編小説集『人生の小さな皮肉』の中の「幻想を追う女」、「息子の拒否」、「西部巡回裁判の途上」、「良心ゆえに」、「萎びた腕」を対象とし、一貫して「不釣り合いな結婚の生態-「共感の通路」を求めて-」をテーマとして論考を重ねてきたが、本年度に取り上げた「リールのバイオリン弾き」では、時間の問題と心理の変容、それに伴う人間と人間との繋がりの変容に焦点を当ててみた。この作品は、流れのバイオリン弾きの奏でるバイオリンの音色が持つ不思議な力に翻弄されるひとりの娘を主人公としている。万国博という出来事に、新と旧の対比が鮮やかに浮かび上がらされ、科学技術の進展とその未来に浮かれる時代に、バイオリンの音色の持つ魔力で象微される旧弊な因襲の世界、そしてそれが巣くう人間の深層心理を巧みに描き出している。その中で、主人公の娘が、バイオリン弾きと結ばれ子供をもうけながらも捨てられて、前の婚約者のもとに戻るという、男と女の繋がりの、そのすり替わり、繋ぎ変わりの妙、そして血の繋がらぬ子供に対する父親の感情の変化、そうしたものを、時間の問題の観点から論じた。
平成17年度は、また、映像や音声などの資料とその利用法にも目を向け、文学研究にどのように利用できるかも模索しながらその環境を整えようとした。また、ハーディ協会全国大会での発表や、資料収集、研究の視野を広げるべく関連の研究例会に参加する等、適宜出張旅行を行った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 不釣り合いな結婚の生態(5):「リールのバイオリン弾き」の場合-共感の通路を求めて-2006

    • 著者名/発表者名
      宮崎隆義
    • 雑誌名

      言語文化研究 徳島大学総合科学部 第13巻

      ページ: 1-18

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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