初期英国劇団地方巡業関係資料、16-17世紀英国演劇史関係文献、演劇関係研究書、近代初期演劇テクストを収集した。特筆すべきは、トロント大学出版局より刊行されたREED (Records of Early English Drama):Kent : Diocese of Canterbury(全3巻)を入手できたことである。ケント州の巡業記録に関しては、これまでマローン協会編Collections(vol.7)とJ.T.MurrayのEnglish Dramatic Companies 1558-1642(全2巻、1910年)に依拠するしがなかったが、REEDケント州資料集刊行により、この地域の巡業の状況をより正確に把握できるようになった。 16-17世紀の英国劇団について、劇団別に巡業記録(巡業地、巡業時期、上演謝礼、上演許可・禁止記録等)を整理し、これを図表化する作業を進めている。一部の自治体(コヴェントリー、ノリッジ、イプスウィッチ、バース、ブリストル他)についてはすでに、1576年(シアター座建設年)から1603年(エリザベス一世没年)までの期間を図表化していたが(未刊行)、現在対象期間を広げ、より詳細な資料を作成中である。現在までに、コヴェントリー、ブリストル、ノリッジについて、1558年から1642年までの図表・資料を完成した(A4版全19ページ、未刊行)。16年度に作成する他地域の図表・資料とあわせて、17年3月までに資料集として刊行の予定である。 現在、「宮廷祝典局長と検閲」という英国ルネサンス演劇検閲・統制関係の論文を執筆中であるが、この論文に、平成15年度に調査した、初期英国劇団地方巡業関係の資料を取り込んでいる。
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