研究概要 |
平成15年度から17年度までの3年間に4編の論考(内1編は印刷中)を執筆し、1編の研究資料を刊行した。 「英国ルネサンス演劇と宮廷祝典局長-祝典局長と検閲-」(2005)は、ジェイムズ朝・チャールズ朝の祝典局長ヘンリー・ハーバートの記録を参照しつつ、祝典局長の検閲が禁圧をめざしていなかったと論じている。「英国ルネサンス演劇統制と祝典局長エドマンド・ティルニー-検閲と庇護-」(2005)では、典局長の地位と権限とを歴史的に跡付け、初代の大衆演劇検閲官とも称すべきエリザベス朝の局長エドマンド・ティルニーが、いかに役者たちの庇護者として立ち現れるにいたったかを、ロンドン市参事会記録と枢密院記録を手がかりに検証した。「宮廷祝典局長の利権-パトロネジの経済学-」(2006)は、英国ルネサンス期の歴代の宮廷祝典局長の収入源を詳細に調査し、局長の演劇作品の上演許可や劇場公演ライセンスの発行など、演劇関係の許認可が祝典局長の営利活動であったと論じている。本論考は、祝典局長の演劇に対する許認可権がロンドンの演劇だけでなく地方巡業にまで及んでいたことを関連資料の詳細な分析によって明らかにしている。「エリザベス朝の劇団と地方巡業」(2006)(『言葉の絆-藤原保明博士還暦記念論文集』所収[印刷中])は、エリザベス朝の大衆劇団と地方巡業の関係を論じている。"Payments to Travelling Players by Provincial Cities and Towns,1552-1642"(2005)は、近代初期イングランドの地方の市や町の、対巡業劇団支払い記録を表にしたものである。本表は、トロント大学出版局刊『初期英国演劇関係記録』(Records of Early English Drama)に基づいて作成した。Bath、Bridgwater、Bristol、Coventry、Norwichの記録を収めている。
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