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2004 年度 実績報告書

トポス「水の精の物語」の身体論的研究 -視覚と聴覚の弁証法-

研究課題

研究課題/領域番号 15520189
研究機関九州大学

研究代表者

小黒 康正  九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (10294852)

キーワード水の精 / 人魚 / トポス / 身体論 / ゲーテ / アンデルセン / 谷崎潤一郎
研究概要

本研究は、ヨーロッパの重要な伝承領域であるトポス「水の精の物語」をドイツ文学を中心に考察し、伝承領域の背後に隠された「聞くこと」と「見ること」をめぐる人類の身体論的展開を「視覚と聴覚の弁証法」と命名し、その実相と意味の解明を目指している。
平成15年度末までの研究では、『オデュッセイア』に登場するセイレンの美しい「声」を重視する見解と美しい「姿」を重視する見解とが融合と離反を繰り返しながら、セイレンの後裔たちの物語を形成していく過程を考察した。特にホメロスから中世を経てゲーテ、ドイツロマン派、アンデルセンにいたるまでの水の精の物語の歴史的展開を詳細に検討した結果、中世において視覚性のみを重視する伝統が形成された後、長らく途絶えた水の精の歌がゲーテによって復活させられ、視覚性も聴覚性も共に有するドイツロマン派の「水の精の物語」が世界文学となりながら、アンデルセンによって再び聴覚性が欠落させられる過程があることを明らかにした。
平成16年度の研究では、前年度の研究成果を踏まえ、一方でドイツロマン派、特にアイヒェンドルフとハイネの考察を進め、他方で日本やアジアにおける人魚の物語を検討した。特に後者の研究からは、明治維新以降の日本文学に増え始める人魚の記述にはアンデルセンの影響が顕著であり(例えば、谷崎潤一郎)、その結果、近代的な「水の精の物語」の特徴として聴覚性が軽視されている事実を確認した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Die schweigenden Wasserfrauen in Japan and Europa.2004

    • 著者名/発表者名
      Yasumasa Oguro
    • 雑誌名

      Berichte des Kyushu-Symposium 2003

      ページ: 28-41

  • [雑誌論文] Begennung von Weltliteratur und Weltpoesie. Von der Entstehung der Wasserfraugeschichte in Japan.2004

    • 著者名/発表者名
      Yasumasa Oguro
    • 雑誌名

      Asiatische Germanistentagung 2002 Bejing : Neues Jahrhundert, neue Heraus-forderungen-Germanistik im Zeitalter der Globalisierung

      ページ: 91-101

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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