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2005 年度 研究成果報告書概要

トポス「水の精の物語」の身体論的研究 -視覚と聴覚の弁証法-

研究課題

研究課題/領域番号 15520189
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 ヨーロッパ語系文学
研究機関九州大学

研究代表者

小黒 康正  九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (10294852)

研究期間 (年度) 2003 – 2005
キーワードドイツ文学 / 水の精 / 人魚 / セイレン / 身体論 / ホメロス / ゲーテ / ドイツ・ロマン派
研究概要

本研究は、ドイツ文学を考察の中心に据えながら、ヨーロッパ文学におけるトポス「水の精の物語」の古代から現代に至るまでの変遷と、その背後にある「視覚と聴覚の弁証法」の解明を目指した。その結果、トポス「水の精の物語」が聴覚重視と視覚重視の融合と離反を繰り返しながら変容する過程を明らかにした。具体的には、
1.ホメロス『オデュッセイア』のセイレンの誘惑手段をめぐって古代から現代にいたるまで知性重視、聴覚重視、視覚重視の概ね三つの異なる見解があること、
2.本来は聴覚を重視する「水の精の物語」が次第に変質し、歌うことのない美しい水の精が登場し、視覚のみを重視する伝統が中世において形成されること、
3.ゲーテが水の精における歌の欠如という点で伝統の継承者となるが、同時に歌を再び復活させる改革者となり、更には新たな展開の先駆者となること、
4.ドイツ・ロマン派によって「水の精の物語」における聴覚重視と視覚重視のふたつの見解が混淆するが、その影響を多大に受けたアンデルセンおいて再び歌声が消失すること、
5.その後、新たな「水の精の物語」が多様に展開しながらも、特にドイツ文学では同時に歌声の欠如という点で共通し、我々に新たな身体論的問題を問うに至っていること、
6.このような更なる展開が近代日本文学の人魚をめぐるディスクールに決定的な影響をもたらし、またもたらし続けていること、
以上の六点を明らかにした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 近代日本文学のねじれ -三島由起夫、辻邦生、村上春樹におけるトーマス・マン-2005

    • 著者名/発表者名
      小黒康正
    • 雑誌名

      九州大学大学院人文科学研究院「文学研究」 102

      ページ: 19-48

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Thomas Mann in Japan - Rezeption and neuere Forschung.2005

    • 著者名/発表者名
      Yasumasa Oguro
    • 雑誌名

      Neue Beitrage zur Germanistik. Hrsg. van der Japanischen Gesellschaft fur Geramanistik. Band 3 / Heft 4.

      ページ: 143-152

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Torsion of modern times Japanese literature. Thomas Mann in Yukio Mishima, Kunio Tsuji and Haruki Marukami.2005

    • 著者名/発表者名
      OGURO, Yasumasa
    • 雑誌名

      Studies in Literature. Faculty of Humanities. (Kyushu University)

      ページ: 19-48

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] Thomas Mann in Japan - Rezeption und neuere Forschung.2004

    • 著者名/発表者名
      OGURO, Yasumasa
    • 雑誌名

      Neue Beitrage zur Germanistik. Band 3 / Heft 4. Hrsg.von der Japanisehen Gesellschaft fur Geramanistik. (Munchen)

      ページ: 143-152

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2007-12-13  

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