今年度の研究計画にあったのは、1.研究成果を論文の形で公刊すること、2.マックス・フリッシュの未公刊資料と既存資料を統合したデータベースを作成すること、3.チューリヒのマックス・フリッシュ文書館等において資料調査を行うこと、4.学際的な研究集会において口頭発表を行うこと、であった。 1.論文は二編が学会誌に収録され、一編が論文集の一章として公刊され、現在一編が審査中である。また三編に関して投稿のエントリーを済ませている。 2.本研究費に基づいて収集したマックス・フリッシュの未公刊資料を電子ファイル化し、それを同じく電子ファイル化した既刊資料のデータベースと統合することで、多様な角度からフリッシュの仕事を分析する基盤を整えた。 3.2005年2/25-3/12の期間、チューリヒのマックス・フリッシュ文書館において、資料調査を行った。調査の重点が置かれたのは、50-80年代の政治状況とフリッシュの仕事との関連を明らかにする手紙、草稿の類である。 4.主として社会学者によって構成される「現代社会理論フォーラム」(事務局:名古屋大学大学院環境学研究科)において、生活史研究および物語療法とフリッシュ・ナラトロジーとの理論的結びつきについて、口頭発表を意見交換を行った。 5.その他、現時点では公表されていないが、本研究費に基づく研究成果を中心に据えて、論文博士を申請するために、原稿の作成を行っている。それに含まれる諸章はあらかじめ1.でエントリー済みとして挙げた論文を基礎にする。
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