ドイツやオーストリアで19世紀に数多く建設された労働者のためのミーツカゼルネとそれの住居環境を改善するために建てられたジードルングについて調査した。それら労働者住宅についてベンヤミンとヘッセルの見解を明らかにした。 19世紀に多く建設されたミーツカゼルネをベンヤミンもヘッセルも問題にした。彼らはこの劣悪な住まいが撤去されるべきだと、考え、ワイマール共和国時代に進められたジードルングの建設を高く評価した。ベンヤミンは子供たちにミーツカゼルネについて語りかけ、テンペルホーフのジードルングを肯定的に評価し、ヘッセルは自らミーツカゼルネを訪れてその劣悪な住環境を憤りをもって記し、ブルーノ・タウトが設計した馬蹄形ジードルングを訪れてその住環境を賞賛した。若い建築家たちの試みと業績を賞賛し、力づけた。ミーツカゼルネを論ずるとき、ベンヤミンもヘッセルもヘーゲマンの『石造りのベルリン』を利用している。ヘーゲマンはこの本の中でミーツカゼルネがベルリンでどのようにしてできあがったかを歴史的に詳細に記述している。ベンヤミンはこの本を徹底的に利用している。しかしその評価は単純ではない。ベンヤミンはヘーゲマンの啓蒙的思考と距離を置きつつ賞賛している。ヘッセルモヘーゲマンの本によってベルリンの建築の歴史について多く学ぶところがあった。ヘッセルは『石造りのベルリン』書評で、ヘーゲマンのミーツカゼルネ批判を全面的に支持している。当研究では、『ベルリン散歩』で言及しているプルーのタウトの手になる「馬蹄形ジードルング」についてはその詳細を研究している。
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