研究概要 |
1.16・17世紀イギリスのアイルランド植民政策に関わる政治的、文学的文献調査を、2003年7、8月にイギリス(British Library、Bodleian Library)において行った。植民政策のイギリス社会における意味を、文学作品において調査研究。また、エレジー、ソネットの英詩、アイルランド詩の比較研究も行った。 2.「近現代アイルランド・イギリス関係史」の一環として、ユナイテッド・アイリッシュメンによる武装蜂起(1798年)に関するアイルランド語伝承歌謡を収集、翻訳中。その主な題名は以下の通り。"Sliabh na mBan", "Maidin Luain Chincise", "Bas an Chroipi", "An Caiptin Mailleach", "Donncha Ban" 3.Micheal O Siadhail著Learning Irish翻訳の作業において、アイルランド語文法に特有な用語の統一、訳語の統一、解釈の確定を行った。文法解釈においては原著の不完全な部分を補う形で、難解な部分の注釈をつけた。プロジェクターを活用することで、研究グループ全体の理解と意見統一が極めて容易かつ速くなった。ほぼ全体の草稿が完成に近づいている。 4.21世紀の今、英詩に想像力と創造性、そして活力を与えているアイルランド語およびアイルランド文化という見地から、これまで「奔放な性」の主題を取り上げて研究してきている。本年度は、さらにアイルランド文化における大きな主題のひとつである「死」のテーマに重点をおいた研究を行った。モーィラ・ヴァッカンツイーのアイルランド語で書かれた哀歌におけるアイルランド伝統の継承のみならず発展を検証した論文をその実績としてまとめ、発表した。
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