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2004 年度 実績報告書

科学的および文化史的感覚研究を援用した英文学・文化感覚史

研究課題

研究課題/領域番号 15520199
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

武藤 浩史  慶應義塾大学, 法学部, 教授 (40229935)

キーワード感覚 / 文学 / メディア / イギリス / 聴覚 / 声 / 触覚 / リズム
研究概要

平成16年度は、大戦間期イギリス社会を大きく変えることになったラジオ放送に焦点を当て、ラジオという声の新興メディアと文学の関係に、さらにもう1つの新興メディアである映画を絡ませて、文学・文化感覚史を調査した。この時期の英文学は、従来はモダニズム文学研究が中心であり、これまではそれと大衆文化との緊張した関係に注意が向けられてきたが、ここでは、ミドルブラウ文化育成に大きな役割を果たしたBBC、そしてミドルブラウ人気作家J・B・プリーストリーの活動に焦点を当てることにより、英文学を新興メディアの諸感覚との関係に置いて、新しい視点の導入を試みた。プリーストリーは、人気小説家にして劇作家であるだけにとどまらず、北部方言のアクセントを残したその魅惑的な声を用いて、初のラジオ朗読向け小説Let the People Sing (1939に放送、出版、後に映画化)を書きBBCで朗読しただけではなく、戦争中は、9時のニュースに続くPotscriptsという番組で、チャーチルと並ぶ国民的人気を博するラジオのパーソナリティとなった。また、「共に歌うこと」を来る戦後社会民主主義共同体の比喩として用いて、声をフィジカルかつメタフォリカルに駆使することで、戦後社会のヴィジョンを巷間に広めた。時代の空気を読むことに秀でたプリーストリーのような作家を中心に文学と他メディアの関係を精査することにより、感覚論を通しての文学・文化史の可能性を確認できた。イギリスへの出張では、国外の学者と交流するとともに、大英図書館でラジオ関係の文献を渉猟した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 序(および全体編集)2005

    • 著者名/発表者名
      武藤 浩史
    • 雑誌名

      生命の教養学へ-科学・感性・歴史(慶應義塾大学出版会)

      ページ: 6-12

  • [雑誌論文] Lawrence, Rhythm, and Rhythm2005

    • 著者名/発表者名
      武藤 浩史(Hiroshi Muto)
    • 雑誌名

      D.H.Lawrence : Culture and History (Kokusho)(Michael Bell 他編) (近刊)

  • [雑誌論文] 腐敗は再生?2004

    • 著者名/発表者名
      武藤 浩史
    • 雑誌名

      身体医文化論III-腐敗と再生(小菅隼人編)(慶應義塾大学出版会)

      ページ: 250-276

  • [図書] D.H.ロレンス『チャタレー夫人の恋人』2004

    • 著者名/発表者名
      武藤 浩史(翻訳および解説)
    • 総ページ数
      616
    • 出版者
      筑摩書房

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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