研究課題
本研究は、バタイユの「異質学」の考え方を20世紀前半における異文化理解の新たな動向と捉え、この考え方を応用して、19世紀後半から20世紀前半にかけてのフランスのジャポニスム(日本趣味)およびケルト復興という異文化理解の現象を考察した。まずジャポニスムについては、19世紀のフランス風景画家たち(モネ、シニャック、ゴッホが中心)およびアール・ヌーヴォーの陶芸家(エミール・ガレ)に注目した。従来の研究では、彼らの内面化された日本趣味は等閑に付されていたが、本研究は、バタイユの概念を導入することにより、彼らの意識が、狂的な日本文化の深層にまで開かれていたことを明示した。同様に、同じ手法でケルト文化復興運動にも注目して、この運動がナショナリズムを越える不合理な生命現象にまで開かれていたことを解明した。これらの成果は、日本およびフランスの学術誌、さらに日本での講演会で発表した。本研究のもう一つの特徴たる「異質学」の限界については、バタイユがファシズムという1930年代の新たな文化現象について不充分な考察を展開していたことを解明した。すなわち、不合理な民衆の情念が政治権力に吸収され、利用される様をバタイユが看過していたことを解明した。この成果については目下、論文を制作中である.
すべて 2005 2004
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言語と文化 第2号
ページ: 93-108
ページ: 73-92
風の旅人 第13号
ページ: 79-84
Le Pays Lorrain 101^e annee vol.85,no1,2004
ページ: 48-50
言語と文化 創刊号
ページ: 55-66