1.18・19世紀イギリス帝国支配、植民地支配とロマン主義文学との関係性を解明しようとする拙者の研究の一環として、当時の航海記録や旅行記など大英帝国支配や科学的探求に関する資料収集を行った。またそれらの記録や旅行記に関連する文学テキストの分析を行った。 2.「地球磁力と極への探求:ColeridgeとMary ShelleyのFrankensteinを中心に」と題し、2005年11月26日、第128回関西コールリッジ研究会(会場:同志社大学)において研究発表を行った。Edmund Halleyの極のモデルはErasmus DarwinやColeridgeに影響を与え、Captain James Cookの3回(1769-80)に及ぶ航海の目的の一つに地球磁力と極への科学的探究があり、これらは地球全体を図化しようとするヨーロッパの自我の構築の一局面である。磁力と極に関する地球規模の科学的探究がMaryとColeridgeの著作に与えた影響とその意味を考察した。 3.「Coleridgeと中国庭園(‘Jardin Anglo-Chinois')」と題する論文をイギリス・ロマン派研究(イギリス・ロマン派学会機関誌第29・30合併号)に投稿し、受理され、2005年3月末に出版された。シノワズリーとしての中国庭園に関する議論、マッカートニー中国使節団による一連の旅行記、記録を当時のロマン派の批評、講演、詩作品と対照させ、中国庭園の持つ美学的、政治的な多義性をイギリス帝国支配の歴史的脈略において分析した。
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