• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 実績報告書

メルヴィルの小説にみる先住民表象の虚構と事実

研究課題

研究課題/領域番号 15520209
研究機関福岡大学

研究代表者

大島 由起子  福岡大学, 人文学部, 教授 (40168919)

研究分担者 小倉 いずみ  大東文化大学, 法学部, 教授 (00185563)
キーワードアメリカ文学 / メルヴィル / 北米先住民 / ピーコッド族
研究概要

アメリカのメルヴィル学会の学会誌Leviathanに掲載された"Isabel as a Native American Ghost in Saddle Meadows"では、メルヴィルの小説『ピエール』の女性主人公のひとりイザベラが、先住民であると主張した。そして作品全体が、転覆された捕囚記として読めることを示した。白人作家の作品においても先住民が無視できないかたち、いわば潜伏したようなかたちで潜んでいることがある。その一例を示せたのではないかと考えている。
「The Confidence-Manに潜む先住民」でも、基本的には同様のアプローチをとった。メルヴィルの小説『信用詐欺師』後半部の主人公は、従来では概ねキリスト教の枠組みで悪魔的であるとされてきたが、彼が先住民的でもあると主張した。作品に、キリスト教という西洋の枠組みと同じくらいの比重で、白人によるアメリカ大陸の征服史の枠組みが隠されていることを分析し、作品の構造・主題にも反映されていると論じた。
私はまだメルヴィル研究の半ばであるが、彼の諸作品では、主人公すら先住民的であるという感触を強めている。
なお、「ロペスの政治的無意識-先住民理解と相克と」では、現代活躍中の環境文学のバリー・ロペスを先住民の主題で論じた。先住民に強い思い入れをもつ白人作家の手になる先住民表象の限界について考察した。ひいてはメルヴィル理解にも役立つはずである。痛感したことは、先住民との関連で理解を深めるためには、前近代と近代のについて考えなくてはならないということである。
平成16年度は具体的には、メルヴィル学会の国際学会(2005年6月の予定)での発表申し込みに向けて努力する。中南米もきちんと研究しなくては、メルヴィル理解はおぼつかないと痛感している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Yukiko Oshima: "Isabel as a Native American Ghost in Saddle Meadows"Laviathan. Vol.5. 5-17 (2003)

  • [文献書誌] 大島 由起子: "The Confidence-Manに潜む先住民"英語青年. 3月号. 12-14 (2004)

  • [文献書誌] 大島 由起子: 伊藤詔子, 吉田美津, 横田由理(編). 21 (2003)

URL: 

公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi