研究概要 |
当初,今年度の目標としていたことの,現時点での実績は以下のごとくである。 (1)7月半ば,ドイツ・ハイデルベルグ大学で開催された第1回国際タミル詩論研究集会に参加し,『トルハーッピヤム』よりやや成立の遅い恋愛文学詩論Iraiyanar Akapporulの訳注研究に従事し,英文下訳を完成した。なお,『トルハーッピヤム』とIraiyanar Akapporulの比較年代研究についても論考を発表した(「研究発表」の項参照)。 (2)8月半ば,モスクワで開かれた国際東洋者会議ICANAS-37に参加し,古典解釈に大きな影響を与えてきた詞書の成立に関する問題について発表を行った。 (3)文学の発生の問題との関連で,9月には万葉古代学研究所(奈良県橿原市)主催の文学発生に関するシンポジウムにパネラーとして参加し,また,同研究所の紀要に,上記「詞書の成立」について寄稿した。 (4)詩学における術語(専門用語)のデータ整理・パソコン入力は順当に進んでいるが,詩学諸派をどの程度含めるか検討中で完成に至ってない。 反面,目標として立てながら達成できなかったことは以下のとおりで,これは次年度に継続する。 (a)諸般の事情で,年度末に大英図書館を訪れることができなかったため,『トルハーッピヤム』の初期刊本の調査,ことに初期刊本発刊に大きな役割を果たしたS.V.Damodaram Pillai(1832〜1901)の評伝など収集ができなかった。 (b)マドゥライ大学のもつ写本のデジタルコピーの入手については,相手側の要求がたびたび変更となるため実現してない。
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