日本国内の図書館に所蔵される宝巻作品を調査し、特にその序文や跋文の分析を通して、編著者の社会的位置や出版組織を把握し、それを基礎に作者や出版者と民衆的宗教組織との関係を探求した。 最近中国で出版された宝巻や民間信仰をめぐる大型叢書から、いくつかの主要な主題に関わる作品、たとえば地蔵十王信仰や目連救母伝説をめぐる作品群を取りだし、それらの比較を通して、宝巻文芸の時代的な変遷の主要方向と、中国近代社会の展開との関わりを分析した。 この研究の成果の一つとして、「目連伝承の近世的展開」と題する論文をまとめ、研究成果報告書として出版した。
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