研究課題/領域番号 |
15520236
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
崎山 政毅 立命館大学, 文学部, 助教授 (80252500)
|
研究分担者 |
吉村 和真 京都精華大学, マンガ文化研究所, 主任研究員 (00368044)
山崎 有恒 立命館大学, 文学部, 助教授 (00262056)
小泉 義之 立命館大学, 大学院・先端総合学術研究科, 教授 (10225352)
ベルント ジャクリーヌ 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (00241159)
|
キーワード | マンガ研究 / マンガ批評 / 学問論 / 文明論 / 文化研究 |
研究概要 |
2003年度の本研究は、「マンガ研究」を対象化するために、以下の2つの課題を設定した。 (1)内容的にも方法論的にもきわめて拡散している、現在の「マンガ研究」および「マンガ批評」において、それらがあたかも緩やかにまとまった領域のように見せる仮象が生じているが、それはなぜなのか。その原因としてとらえられる、主要な傾向あるいは動向を考察する。 (2)(1)の考察をもとに、「マンガ研究」「マンガ批評」を対象化し、それらを自主的な社会的・学問的領域として成立させる基盤を構成する諸条件とはどのようなものかを考察する。 前者については、2004年2月20日に立命館大学において開催した研究会で、研究報告および論議を行った。そのさい、本研究の研究代表・崎山および研究分担者・吉村の報告にくわえて、「マンガ研究」「マンガ批評」にかかわる諸論考を編集・出版している学術雑誌『現代思想』および批評誌『ユリイカ』(ともに青土社より月刊および臨時増刊の形式で出版されている)の編集者である池上善彦氏と山本尤氏からの報告をうけた。その結果、「マンガ研究」においては、社会的な状況をマンガ作品が映し出しているとする「反映論」と、マンガを表現作品としてのみ論じる「作品自立論」の2つの立場からの立論が存在し、現在でもそのどちらかの立場からの分析に終始しているが、いずれの方法論にも決定的な限界があり、方法論上での刷新が求められていることが明らかになった。 後者については、2004年2月23日に立命館大学で開催した公開ワークショップにおいて、研究報告および論議を行った。そのさい研究分担者・小泉が問題提起としての報告を行い、これまでは無前提にマンガを文化としてとらえる論議に終始してきたが、マンガは電気や電話網のような現代生活にとって不可欠な「文明」にかかわるものなのか、それとも、読む読まないを決定しうる「文化」の一部なのかを再考することから、対象化を進めるべきであるという論点が提出された。
|