研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、動詞意味論の根幹をなす言語の事象構造に関してその多様性と類型化の可能性を、構文を手がかりとしながら、言語類型論の研究手法を用いて明らかにすることであった。特にこれまでのデータ検証の中心にはならず普遍言語理論に疑問を呈することの多いアジアの諸言語の綿密なる対照研究により、事象構造の再考察を行なうものであった。その研究計画をもとに、文献・資料・データの収集および検証を行いまとめるとともに、理論的な分析を加え結論を導き出す作業を行った。特に結果構文の構造、および主観性/直示性の言語化に関する類型を行い、各言語の事象構造に関する他の類型とどのような相関関係を有するかを分析し、総括した。具体的には、まず動詞意味論、主に結果構文に関する記述的なデータの収集作業と、そのデータにもとづいた汎言語的に適用可能な結果構文の定義の設定・検証を遂行した。その過程でタイ語を中心に類型論・認知言語学の研究をしている海外共同研究者Thepkanjana博士のもとへ赴き博士と研究打ち合せを行った。博士とは上記結果構文の類型の論文、タイ語結果構文およびその文法化の諸論文をまとめた上、さらに他の関連した事象として、動詞killの意味範囲の英中タイ語間対照研究、3項事象・授受動詞giveの文法化に関する孤立語(中タイ語)間の対照研究も行った。また本研究の中心的な課題である事象構造の定義の設定・検証に海外研究者Croft氏とも研究打ち合せをし、認知類型論の国際的な第一人者として言語類型論、認知言語学また通言語的統語研究上の資料提供及び助言を得た。プロトタイプ的な定義をもとに、各言語間の構文上の類似点・差異を指摘し、類型化を検討し、個別言語の多様性がいかなる要因(の組み合わせ)で説明できるかを考察した。研究結果、成果は部分的に17年7月ソウルで開催された国際認知言語学会をはじめ国内外の学会で発表した。また学術雑誌にも投稿し、現在査読を受けている。
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Athanasiadou, Canakis and Cornillie (eds.) Subjectification : Various Paths to Subjectivity, Berlin : Mouton de Gruyter (印刷中)
Subjectification : Various Paths to Subjectivity, Berlin : Mouton de Gruyter(Athanasiadou, Canakis and Cornillie (eds.)) (in press)