研究概要 |
本研究は日独両言語における対格目的語の実現する認知的メカニズムをコーパス分析を基にして明らかにしようとするものである。研究初年度である平成15年度は,理論的枠組みの構築と実際的作業の道筋を確定した後,ドイツ語のコーパスにおいて,対格と前置詞句の対立,対格と与格の対立を示すサンプルを多数収集して,関与的要因を観察することを実施した。 具体的には,平成15年4月〜7月の期間において,Usage-Based Modelの手法についての理論的枠組みに対する理解を深めるとともにコーパス分析の手法,特に,実際的なコーパス分析ソフト・データベースソフトの使用法を習熟することに費やした。8月〜9月にかけて,Spiegel誌等のCD-ROMコーパスおよびIDSでWeb公開されている書き言葉と話し言葉のコーパスを用い,対格と与格および対格と前置詞格が対立する構文を許す動詞の用例を検索,収集した。また,8月末の日本独文学会語学ゼミナールにおいて研究発表を行った。続く,10月から平成16年2月までの間に,収集した用例をデータベースソフトFile MakerおよびMicrosoft Access)に用いて,各文成分の意味素性を分析し,データベース化した。3月上旬には熊本大学文学部言語学講座および独語独文学講座でコーパス分析の手法について意見交換現在は,さらに不足するデータのチェックおよび日本語の用例収集を開始したところである。
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