研究概要 |
平成16年度は,前年度に収集したドイツ語データを整理し,不足しているデータを追加した。特に,接触・打撃動詞および心理動詞を中心に分析を精密化した。この作業は1年間継続して行ったが,特に,4月〜8月の期間に集中して行った。この期間に,"Pladoyer fur gebrauchsbasierte Satzsemantik"と題する論文を執筆し,8月に脱稿した(平成17年3月に出版)。この論文では,従来の結合価理論が,補足成分と添加成分の区別を中心課題とするが,それに成功していないことを述べた後コーパスの頻度に基づいた新しい結合価理論の必要性を述べた。これは現在の研究の理論的枠組みを提示したものである。9月〜12月の期間は,ドイツ語の収集事例に意味的に対応する日本語の動詞の事例を主にCD-ROMから収集してリスト化するととともに,ドイツ語と日本語の対格の実現に関わる認知スキーマの抽出,記述を行った。平成17年1月10日に東京外国語大学ドイツ語科の在間教授のゼミナール,および,1月15日,16日に京都産業大学で開催された語学研究会「Universale Syntax und Semantik fuer Sprachvergleiche」において,成果の一部を発表した。この発表において,他の参加者から有益な示唆を得て,現在,最終的な資料の整理記述の精密化を行っている。また,昨年度の研究成果の一部を田中慎氏との共著で言語学の国際誌"Linguistics"に投稿していた論文が採択された旨の通知を3月上旬に受けた。現在その最終的な語句の調整を行っている。
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