研究課題
基盤研究(C)
本研究は日独両言語における対格目的語の実現する認知的メカニズムをコーパス分析を基にして明らかにしようとするものである。研究年度である平成15年度・16年度を通して、理論的枠組みの構築と実際的作業の道筋を確定した後、ドイツ語と日本語のコーパスにおいて、対格と前置詞句の対立、対格と予格の対立を示すサンプルを多数収集して、関与的要因を観察することを実施した。これらの研究の具体的成果として、次のことが判明した。まず、研究の基礎をなす理論的準備として、従来の結合価理論が、補足成分と添加成分の区別を中心課題とするゆえに言語の使用を捉えきれなかったことを指摘し、コーパスの頻度に基づいた新しい結合価理論の必要性を提唱した。(Seino(2005):"Pladoyer fur eine Grauchsb-asierte Satzsemantik - Einge neue Valenztheorie"として発表)。その上で、両言語の格表示においては、表される事態によって影響を蒙る<人間>の表示がドイツ語では義務的であるのに対し、日本語では動詞や形容詞の意味内容に抱合されている場合が多く、この<経験主>の表示の差が両言語の構文の成り立ちに影響を与えている。(Seino(2004)"Die Experiencer-Codierung im Deutschen und im Japanischen"において発表)。さらに、ドイツ語と日本語の受動分を観察し、両言語は、の受動文形成に<他動性>が大きく関わる点で類似しているが、ドイツ語の受動文は項の削除によって生成されるのに対し、日本語の受動文は項を付与するプロセスによって生成されることを提唱した(Seino and Tanaka(2006):The "passive" voice in Japanese and German : argument reduction versus argument extensionとして印刷中)。これらの具体的な成果のほかに、ドイツ語と日本語の文で、対格と予格・前置詞句と含むデータを大量に収集してデータベース化した(そのうちドイツ語分の一部を成果報告書に収集した)。
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Linguistics 2/2006
Linguistics. 2(in press)
Deutsch aus ferner Nahe. Japanische Einblicke in eine fremde Sprache. Festschrift Susumu Zaima zum 60. Geburstag. Hrsg.von Takahashi Narita, Akio Ogawa und Toshiaki Oya.
ページ: 131-140
Deutsch aus ferner Nahe. Japanische Einblicke fur ene fremde Sprache. Festschrift fur Susumu Zaima zum 60. Geburtstag. Hrsg.(von Takashi Narita, Akio Ogawa und Toshiaki Oya)
Neue Beitrage zur Germanistik. Internationale Ausgabe von "Doitsu Bungaku". Band 3/Heft 2
ページ: 134-144
Neue Beitrage zur Germanistik. Internationale Ausgabe von,Doitsu Bungaku,