平成15年度は研究1年目にあたり、本研究による方言談話音声コーパスの構築として、奈良県吉野郡十津川村那知合地区における方言談話収録(約2時間分)のうち、約1時間分について文字化・共通語対訳付けのチェックを行った。さらに、当該方言における文末辞ノーラは共通語のネの近い働きを有する一方、微妙に用法の相違もあり、その用法分析のため実施した、聞き取り調査の結果を整理し考察を行った。 収録に協力してくださった方言談話話者は次の方々(年齢は収録時): ・後木綾子(女)昭和4年生まれ72歳那知合出身 父・母とも、十津川村出身 ・内野益蔵(男)昭和12年生まれ78歳十津川村上湯川出身 父は、十津川村上湯川出身 母は、十津川村出谷出身 ・後木弘(男)大正11年生まれ79歳那知合出身 父は、十津川村那知合出身 母は、十津川村谷垣内出身 ・塩崎フミエ(女)明治41年生まれ93歳十津川村山手出身 21歳の時那知合に移住。父・母ともに和歌山県田辺市出身 ・千葉栄子(女)昭和21年生まれ54歳那知合出身 父・母とも、十津川村出身 ・後木準一(男)昭和8年生まれ68歳那知合出身 父・母ともに十津川村那知合出身 終助詞ノーラと間投助詞ノーラを対比し音響分析した結果、間投助詞はポーズが短い場合が多い、間投助詞は上昇傾向がよくみられる、間投助詞はポーズが短い時より長い方が話者交替を行いやすい、といった点が明らかになった。
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