本年度は、3年計画の第2年度にあたる。研究計画に従い、新出資料を加えた戦国秦漢の出土文字資料のデータベース化を継続して行った。また、郭店楚簡・上博楚簡・睡虎地秦簡・阜陽漢墓簡牘・馬王堆漢墓帛書などの資料を中心に、戦国から秦漢への移行期における筆記文字の実態を分析した。 その成果の一部は、4月10日に国立台湾大学東亜文明研究中心で開催された「出土文献研究方法第2次学術研討会-上博簡與出土文献研究方法学術研討会」における研究発表「字体分析在出土文献研究上的意義-以郭店楚簡『語叢三』為中心-」や、12月11日に安田女子大学で開催された中国地区大学書道学会における研究発表「馬王堆帛書『式法』の文字学的検討-『馬王堆簡帛文字編』札記-」として報告するとともに、論文「上博楚簡『中弓』における説話の変容」論文「出土文献研究における字体分析の意義」、図書(共著)『諸子百家<再発見>』(「第2章 諸子百家の時代の文字と書物」を執筆)として発表した。 また実施計画に掲げた国際交流の面では、上記の国立台湾大学東亜文明研究中心で開催された「出土文献研究方法第2次学術研討会」において、国立台湾大学の陳鼓應氏・香港中文大学の張光裕氏をはじめとする多くの研究者と学術交流を行い、また8月21日から24日にかけて北京の清華大学において開催された「多元視野中的中国歴史」国際会議では、李学勤氏・彦名春氏をはじめとする中国研究者と学術交流を行った。これらの学術研討会や国際会議では、戦国秦漢出土文字資料についての多くの資料や情報を収集することができ、今後研究を推進していく上で、きわめて有意義であった。
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