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2005 年度 実績報告書

概念構造における空範疇に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15520257
研究機関広島大学

研究代表者

井上 和子  広島大学, 総合科学部, 教授 (00144890)

キーワード意味表示 / 統語表示 / 空範疇 / 義務的コントロール / 随意的コントロール / PROobl / Minimal Distance Principle
研究概要

本研究課題の前年度までの成果として,「使役の連鎖」の考えを採り入れた概念構造表示には、二種類の空範疇があり,それぞれ,統語表示での義務的コントロール(PROobi)と随意的コントロール(PROarb)に相当するものであることを,明らかにした。本年度の研究は,特に,義務的コントロールを行なう空範疇に焦点を当て,次のような問題を考察した:(i)controllerとなる意味要素はどのような種類のものか;(ii)controlされる要素はどのようなもので,controllerとはどのような関係にあるのか;(iii)一つのcontrollerがcontrolする要素は一つのみか,あるいは複数の要素が許容されることもあるのか;(iv)統語表示におけるPROoblは,意味表示における義務的コントロール(α,β...)に対応するのか,両者は同一のものか。
(i)に関しては,変項のほか,変項を含む定項,または,別のcontrollerに束縛されている空範疇を含む定項がcontrollerになりうることを示した。
(ii)に関しては,コントロールされる要素αのcontrollerは,αをc-commandしている最短の変項または,空範疇+定項,定項+変項といった複合要素である。そして,両者の間には,統語構造におけるのと同様に,"Minimal Distance Principle"が働いていることが確かめられた。
(iii)に関しては,一つのcontrollerが複数のcontrolされる要素を許す状況は,主語指向の付加詞などが並立する場合に見られることを示唆した。
(iv)に関しては,次のような結論を得ている。意味表示における義務的コントロールは,必ずしもPROoblに対応しているとは言えない。その理由は,PROoblが生起しているのは,不定詞や動名詞などの非定形節に限定されるがらである。しかしながら,その逆である,PROoblは意味表示の義務的コントロールに対応するという可能性は,まだ残されている。このことを,統語論において,それぞれ,その不定詞のPROがobject control, subject controlとされる動詞forceとpromiseの意味表示と統語表示の対応関係を考察することによって,明らかにした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 意味表示と義務的コントロール2005

    • 著者名/発表者名
      井上 和子
    • 雑誌名

      言語文化研究(広島大学総合科学部紀要V) 31

      ページ: 1-17

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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