研究概要 |
平成17年度は本研究の最終年度にあたるため,これまでの研究の集大成として以下のことを行った. 1.本研究が目指した日・英・仏・西語すべてにその翻訳のある小説を資料体とするデータ・ベースの完成 Agatha ChristieのThe Thirteen Problemsの日・英・仏・西語版の最初の3作品を資料体とするデータ・ベースを完成させた.その体裁は左右見開き2ページに左から当該作品の日・英・仏・西語訳を並べたものである.仏語と西語は同系言語ということで同じ右ページに掲載した.この配置を取ることにより,両言語間の類似点のみならず相違点の検索が容易になる.英語と仏語はページを挟んで隣あっているが,これも両言語間の系統的・類型的関係性を考慮してのことである.同じ左ページに並べられた日本語と英語は系統も類型も異なるが,現在隆盛を極める日本語教育,日英対照研究には大いに役立つと思われる. 2.本研究のメンバーの母体である「西南言語対照研究会」に時制・アスペクトを専門とする以下の研究者を招聘し,関連分野の最新の知見を得た. 平成17年1月22日:柏野健次(大阪樟蔭女子大学)「語彙アスペクトと文法アスペクト」 工藤真由美(大阪大学)「日本語のアスペクト・テンス・ムード体系のバリエーションと言語類型論」 平成17年3月5日:阿部宏(東北大学)「文法化によるアスペクト・テンスの形成について-多義性をどう捉えるか」 平成17年9月24日:フランス・ドルヌ(青山学院大学)「時制,アスペクトと他動性の問題-日本語とフランス語の対照の観点から」 3.本研究の成果報告書を作成 本研究の集大成として,280ページの成果報告書を作成した.その構成は第一部論文等編と第二部資料編から成る.第一部には論文・報告が9本,第二部には1.で述べたデータ・ベースが収められている.
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