研究課題/領域番号 |
15520262
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
船山 仲他 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10199416)
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研究分担者 |
玉井 健 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20259641)
宮畑 一範 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (20229876)
西村 友美 京都橘女子大学, 英語コミュニケーション学科, 教授 (90237735)
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キーワード | 同時通訳 / 言語理解 / 概念的複合体 / 発話のオンライン処理 |
研究概要 |
同時通訳記録の資料化については、NHK衛星放送で放映された英語討論番組5本の文字化を完成させた。衛星回線を使ったこれら討論の日本語への通訳はぶっつけ本番の同時通訳であり、通訳者の原発話理解をトレースできる資料となった。音声記録としては、コンピュータ・ソフトDigiOn Sound Lightを用いて、英語、日本語を2トラックで保存し、必要に応じて同時通訳のタイミングを音声的に確認できるファイルを完成させた。また、記録された討論のトピックは、「徹底検証イラク戦争」、「世界はアメリカとどう向き合うか」、「テロなき世界の実現」、「国連は機能を回復するか」というように、いずれも、イラク戦争を中心に国際政治を扱ったもので、かつ、担当通訳者が限定されており、正味100分を越える均質的な資料が得られた。 理論的な考察に関しては、発話の聞き手としての通訳者がオンラインで形成していく概念的複合体(conceptual complex)を中心に発話理解のプロセスを明示化する手法の有用性が確かめられた。実際の同時通訳を観察すると、文単位の訳ではなく、いくつかの文に散在する概念の統合や、原発話において明示的に表現された言語形式を基に推論される言語外的な知識をふまえた概念構築を確認することができた。発話理解のプロセスは、認知的にタグを付けられた概念的複合体の変容として捉えることによって、その特質を明らかにできることが分かった。このアプローチは、従来の言語学的研究における言語表現中心の記述の弱点を克服するものであり、同時通訳の観察によって初めて実証的に支持され得る。本研究は、言語理解過程のミクロ分析に対するそのようなアプローチの妥当性を示した。
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