研究概要 |
研究初年度である平成15年度は、当初の予定どおりコイサン研究の準備段階として中部コイサンの研究に従事した.具体的には、二次資料の収集とともに,一次資料によるグイ語の親族名称研究を、(1)動詞性および名詞性にかかわる議論を通して深め、それの(2)文法的ふるまい・語彙化している意味組成・語用論的使われ方による下位分類をすすめた。(1)に関してはすでにその一部を研究論文として公表する段階にある.(2)に関しては録音会話資料の分析から得られた項目の抽出、およびグイ語全体の文法の記述(=スケッチグラマー)を同時におこなうことにより進めている.スケッチグラマーは、まだ発表段階にはないが第一稿を作成した. 次に,今後の歴史研究につながるものとして、親族名称体系の類似性・共通性から中部コイサンの一部と南コイサンの一部の深い接触の可能性を指摘した論考を公表した。 また海外共同研究者であるオーストラリアメルボルン大学エバンス教授を2度訪問し,上記の項目に加え中部コイサンの体系の類型論的特徴である「交叉性」を分析・考察する新しい観点について、および冗談/忌避関係における言語表現の理論的研究についてレビューを受け意見交換を行った。
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