研究課題
基盤研究(C)
(1)コイサンの中で特異な体系(F=FyB≠FeB=MB : Split nuncle pattern)を有するグイグループ(グイ、ガナ、ツェラ、ホアン)においてみられるこの体系の存在と有機的に関連する現象(婚姻の順序;平行イトコ間およびhalf sibling間の年上年上関係の決定方法)を明らかにした。また、この現象を持つかどうかでこのグループの近隣に存在するほかの集団も分類できることをしめし、そこからSplit nuncle patternを持つに至る変遷のシナリオを考察した。(2)中部コイサン、グイ語の親族名称の文法的振る舞いを明らかにすることにより、より基本的な語彙であると思われるシリーズ(動詞としてもふるまう;terms of referenceである。teknonymyで用いられる、性別を語彙化していない)とそうではないシリーズ(名詞としてのみ振る舞う;terms of address である、性別を語彙化している)があることを明らかにした。また、前者のシリーズは借用を受け入れにくく、後者のシリーズは借用を受け入れやすいことから、コイサンの親族名称語彙を考察する際に重要な指標になることを明らかにした。(3)新旧のコイサン資料を収集し、辞書からは親族名称とその文法的意味的情報を、テキストからは親族名称の用いられている用例を、親族体系をたててある人類学的研究からはそこから親族名称とそれに関わる様々なレベルの記述を抜き出し統合した。ここから、中部コイサンに散発的に見られる親族動詞用法を確認し、冗談関係クラスと忌避関係クラスをあらわす語彙グループのうち、冗談関係グループの方が多く借用語を受け変化をこうむっていると考えられることを明らかにした。これらについての考察は論文として準備中である。
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Nomads(J.Tanaka, S.Sato, K.Sugawara, and I.Ota (eds))(Syoowa-Do)
ページ: 170-185
The refereed proceedings of the International symposium of Khoisan Linguistics in Riezlern(Ruediger Koeppe : Koeln) (in print)