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2005 年度 実績報告書

最新極小主義理論研究-進化と複雑系の視点から

研究課題

研究課題/領域番号 15520270
研究機関津田塾大学

研究代表者

池内 正幸  津田塾大学, 学芸学部・英文学科, 教授 (20105381)

キーワード極小主義 / 前適応 / 自然選択 / 反証主義 / 普遍文法
研究概要

引き続き、極小主義理論の視点からいかに生産的でかつ実り多い言語の起源・進化研究を行う/えるかについて考察し、本年度は次の諸点を明らかにした。
(1)言語の起源に関する進化理論については、起源が「非言語的なモノ」から「言語」への質的変化という「跳躍」であることを考えると、連続性を主張する自然選択適応説は妥当でない。また、スパンドレル説は、それ以上の研究の進展を促さない恐れがあることから、ラカトシュの研究プログラムの資格も持たない。ということから、現時点では、前適応説を採るのが最も妥当である。
(2)上記の、言語の起源における質的変化を考えると、いわゆる構成論的/自己組織化アプローチは、起源の問題解明に貢献できるかどうかは疑わしい。agentの初期条件に「言語的なモノ」は加えられないからである。
(3)ネオ・ダーウィニズムの立場にせよ、Gouldらの立場にせよ、進化論における言語の起源の考察は、そもそも化石証拠などがない歴史上の過去の1回の出来事に関するものであるから、本質的に反証主義には馴染まない。一方、生成文法理論研究は(洗練された)方法論的反証主義に基づいている。生成文法論者が現時点で取るべきは、反証主義を当面棚上げすることである。これが、言語の起源・進化に関する生産的な研究をもたらす。
(4)幾つかの問題点について明らかにした。
(i)個体発生と系統発生、すなわち、言語獲得と言語の起源・進化、の問題は峻別すべきである。
(ii)進化論研究でしばしば言及されるいわゆる「入れ子構造」と、人間言語における入れ子構造は本質的に異なることに注意すべきである。
(iii)再帰性だけが人間言語の唯一性ではない。探索子-目標子関係、叙述、修飾関係などにも目を向け、それらの前適応は何であったかを考察する必要がある。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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