研究概要 |
研究代表者は研究開始期からSchlobinski教授との情報交換を一層緊密にして,6月にはドイツのウェブサイト上に,氏との共著としてショートメール・コミュニケーションについての対照研究の成果となる論考をドイツ語で発表することができた。以後研究分担者との協議と連絡のもと若者語研究の最新の動向を把握するための文献・資料調査に重点を置く一方で,7月以降は「社会と行為から見たドイツ語」研究会において関連分野の諸研究を俯瞰し,問題提起や討論に付す機会を設けた。8月にはドイツを訪れ,Schlobinski教授やAndroutsopoulos教授との討議,問題点の整理を行った。新たにチューリヒ大のDurscheid教授とも対照研究の可能性について協議した。その後,文献・資料調査を続ける一方で,とりわけ1月には,それまでに行った日本での若者語アンケート調査(ショートメール関係)の集計を大学院生の協力のもとに行った。この資料は次年度の研究進展の土台ともなるものである。さらに,若者語の用例と意味記述,用例についてのコメントを含む簡易語彙集を大学院生の協力のもと作成し,とりわけ日本語の若者語の地域差(関西方言・関東方言)を考察する手がかりとした。語彙数は30程度にとどまったが,語彙数を増やし,精度を高めることが次年度の課題である。 3月にはSchwitalla教授を日本に招待し,立教大学では「会話分析と若者語」に関する公開講演会を開催し,関西大学では「電報とショートメール」についての講演を聞く機会を設けた。後者は研究分担者との連携のもと語学コロキウムとして企画され,料理本の分析やチャットコミュニケーションに関する大学院生のドイツ語報告も行われた。この2つの催しは専門知識の提供,意見・情報交換の絶好の機会となったと同時に,若者語研究を日本人(研究者)にとってより身近なものとするきっかけにもなった。
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