本研究は、推論事象の言語的表現について、論理意味論と認知意味論を融合した、新たな理論的枠組みを提案し、それを実例や実験を通して検証していくことを目指す。 本年度は、昨年に引き続き、データの収集・分析と、理論的枠組み構築のための基礎的研究を中心に行った。 (1)当初計画にしたがい、論理文の日英語対訳データベースを継続して作成した。日本語から英語に翻訳された評論文、英語から日本語に翻訳された評論文(いずれも日本文化に関するもの)、および映画を題材にし、論理的関係を表す接続形式を抽出し、その対応関係を分析した。 (2)推論現象の分析における論理意味論と認知意味論の統合について、本年度も、Northwestern大学の論理意味論の専門家とのコラボレートを継続して行った。また、Georgia大学の文法化の専門家とも研究打ち合わせをし、文法化の観点からの研究の可能性も検討した。 (3)論理関係の周辺的用法については、研究分担者との共同で、少量を表す「ちょっと」の多様な用法と習得について研究を行った。その成果の一部は、平成17年度に開催される国際語用論学会で発表することになっている。
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