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2005 年度 実績報告書

成立期翻訳ミステリー小説に見る新文体創造の軌跡

研究課題

研究課題/領域番号 15520286
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

山本 いずみ  名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (20211609)

キーワード翻訳 / 明治 / ミステリー小説 / 新文体 / 人称代名詞 / 和文脈 / 漢文脈 / 欧文脈
研究概要

最終年度である平成17年度は、これまでの研究成果をまとめ、『児童文学翻訳作品総覧アメリカ・ギリシャ・アラブ編』(川戸道昭・榊原貴教編、大空社・ナダ出版センター、2006)に「日本の『黒猫』における一人称代名詞の変遷について-Edgar Allan Poe原作"The Black Cat"-」を寄稿した。一方で、『現代語で読む「松陰中納言物語」付本文』(和泉書院、2005)を著わし、その過程で、和文脈の中においてどのような形で会話文をマークすればよいのか(会話文を示すマーカーとしてどのようなものが付されているのか)について検討した。
こうした研究を通じ、使用された人称代名詞の変化と文体の密接な関係を確認するとともに、人称代名詞が文体を反映する重要な指標となることを示した。これを利用して翻訳ミステリー小説の文体変遷の様相を探った。その結果、和文脈「私…われ/わが…」と漢文脈「余…われ/わが…」という伝統的な書き言葉の流れの中に、翻訳というシステムが入り込むことで生じる混乱と、そこから生み出される新しい書き言葉「私…自分/自身…」への変化の様相を、"The Black Cat"という独白を中心とした小説を日本語化したものにおいて明らかにすることができた。
今後は、これまでの研究過程で浮き上がって来た、使用する人称代名詞と地の文・会話文の関係に着目して研究を進めて行きたいと考えている。地の文の中に会話文が埋め込まれ、文脈内のマーカーから会話文の存在を判断する伝統的な書き言葉から、「 」という明らかなマーカーを会話文に付ける新しい書き言葉へと移り変わる様子を、人称代名詞に注目しながら探ることで、新文体が創造されていく過程の新たな一面を追求したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006 2005

すべて 図書 (2件)

  • [図書] 児童文学翻訳作品総覧 アメリカ・ギリシャ・アラブ編2006

    • 著者名/発表者名
      川戸道昭, 榊原貴教 編
    • 総ページ数
      1,023
    • 出版者
      大空社・ナダ出版センター
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] 現代語で読む『松陰中納言物語』付本文2005

    • 著者名/発表者名
      山本 いずみ
    • 総ページ数
      330
    • 出版者
      和泉書院
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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