教科書および関連の史資料の収集、基礎資料どなるデータ・べースの作成、ならびにその分析を行った。内容は以下の通りである。 I.朝鮮読本のテキストおよび関係史資料の収集;検定教科書時代の内地読本の収集と台湾、朝鮮総督府編纂国語読本関係の史資料の収集を行った。教科書に関しては所在のわかっている各期の国語読本のほとんどが収集できた。また、教科書以外の教授資料の重要性を認識し、植民地の国語読本について編纂趣意書や教授書のうち所在のわかっているものについて収集を行った。ほかに教材として朝鮮総督府編纂の「冬休学習帳」を収集し、編纂経緯などを調査した。その結果現存する戦前の植民地編纂の教材としてはきわめて特殊なものであり、台湾と朝鮮の教科書の違いについて知る有力な資料であることが判明した。 II.朝鮮読本のデータベース化;収集した朝鮮読本について本文入力を行った。これにより、内地、台湾、朝鮮の国語読本のデータベース化が完了した。 III.kwic形式による用語総索引の作成;『普通学校国語読本(あゆみ出版復刻版)』(1922)のkwic形式の見出し語・品詞付き用語総索引を作成した。その他の普通学校用の国語読本についてはkwic作成がほぼ終了した。 IV.植民地および内地国語読本の語彙研究;自立語について語彙調査を行い、比較研究を行った。語彙量では3種の教科書ともに類似性が高いことが判明した。また、語彙の使用の面では各教科書ごとに特色がみられることを明らかにした。
|