本研究は、古代日本の墨書資料(正倉院文書、木簡等)を対象にして、字体と書体(書風を含む)のありようを明らかにすることを目的とする。 平成17年度は、前年度に引き続き、研究代表者ならびに研究分担者が字体、書体のそれぞれについて調査、検討、考察を行った。 字体(奥田担当)については、以下の調査、検討、考察を行った。 (1)正倉院文書における助数詞を中心とした異体字のありよう (2)正税帳における数字表記のありよう (3)古代日本伝本資料における数字表記のありよう 上記の(1)では、正倉院文書に用いられる助数詞のうち、「條」「条」、「〓」「斗」の関係について検討、考察を行い、(2)は、正税帳における数字表記において大字(壹・貳・参など)と通常字(一・二・三など)の使用のありようについて検討、考察を行った。(3)は、(2)の研究の成果を踏まえ、伝本資料として存する公文である風土記を対象に、数字表記のありようを検討・考察した。また、書体(古木担当)については次の調査、検討、考察を行った。 (4)近江地方出土木簡における書体(書風を含む)のありよう 上記の(4)は、近江地方出土木簡の書体の特徴に着目し、地方における書体のありようについて調査、検討を行った。 (1)〜(4)のうち、(3)については学術雑誌にその成果を発表し、(1)(2)(4)については、報告書に掲載するとともに、平成18年度中に学術雑誌に成果を発表する予定である。
|