研究概要 |
1.研究の目的 現代日本語研究に望まれるのは,その時々の社会状況の変動を敏感に察知し,適切な課題設定のもとに実施することである。本研究の目的は,このような観点から,優先的に扱うべき研究課題の設定に資する「基盤情報の整備」を行うとともに,問題の所在を明らかにするための「言語問題の見取り図」を作成し,そこから見出だされた二,三の重要な課題について,基礎的な「事例研究」を行うことにある。 2.研究の成果 (1)「基盤情報の整備」については,研究分担者(池田・江川)が,(独)国立国語研究所の作成してきた「新聞記事データベース」(約11万件を収載)をさらに充実させ,その活用によって日本語をめぐる状況についての詳細な動向分析ができるようにした。また,動向分析の事例も報告した(池田)。 (2)「言語問題の見取り図」については,研究代表者(相澤)が,日本語コミュニケーションの立場から言語間題の分類・整理を行い,全体を見渡せる見取り図の試案を作成した。また,この枠組みに言葉の専門誌『言語生活』(筑摩書房刊,1951年〜88年),『日本語学』(明治書院刊,1982年〜現在)のこれまでの特集テーマを当てはめ,言葉に対する関心事項の分布傾向を把握できるようにした(未完)。 (3)「事例研究」については,日本社会の国際化,高度情報化を背景とするコミュニケーション上の問題を中心に検討し,「外来語使用」(相澤),「携帯メイル」(研究分担者,田中),「電子化辞書」(相澤)について報告した。なお,予定していた「今後の研究課題の明確化」については,引き続き検討することにしたい。
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