研究概要 |
1)遊離数量詞構文のホスト名詞句からの数量詞の遊離可能性に対して,非対格仮説(unaccusativity hypothesis)に基づく分析を北原(2001)が提案している。すなわち,個体数量詞(「4匹」等)は,自動詞文(非対格・非能格)の主語,他動詞文の主語及び目的語からの遊離が許されるが,内容数量詞(「15kg」等)は,他動詞の目的語及び非対格自動詞文の主語からの遊離は許されるが,他動詞文の主語及び非能格自動詞文の主語からの遊離は許されないとする分析である。本研究では,非対格性に基づく北原(2001)の分析には,状態述語の主語・非対格動詞の主語名詞句・他動詞の目的語名詞句からの数量詞遊離が許されない場合があるという問題点があることを指摘した。代案として,数量詞の遊離可能性は,遊離数量詞を動詞句副詞(adverbs)と分析することで,述語との意味関係に基づき適切に説明することができることを指摘した。 *平成17年1月6日-9日にOakland Marriott City Center(Oakland,CA,USA)で開催された第79回アメリカ言語学会[LSA 2005]に参加し,最新の言語研究の成果に関する情報を収集した。Alrenga(2005)"Specificity Conditon effects in the English attributive comparative construction"[than節の移動と特定性条件(SC)],Larson & Yamakido(2005)"Ezafe and the position of Nominal Modifiers"[修飾語句をDの補部として生成する名詞句(DP)の構造]の研究を,結果節の外置・先行詞内削除・数量詞の作用域・数量表現の局所性の分析に適用する可能性を検証している。
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