研究課題
本年度もほぼ交付申請書記載の計画通り、完了形に関する意見交換を通じた情報及び文献収集で得た知見を再検討し考察を加えた。その中心は、現在完了形が過去分詞に示される過去の出来事を表すと見なす、世界中の研究者の多くに見られる非常に根強い支配的見解が、英語の現在完了形の正しい理解を妨げており、完了形研究が座礁している点を指摘し、この支配的見解を支えてきた、以下のような3つの観点からの、根拠の誤謬の壁を一つ一つ崩し打破し、現在時制表現の一つと位置づけることにあった。1.英語に近いノルウェー語の完了形に関する誤謬については、母国語とする話者との交流により狙い通りの解決策を引き出せた。2.現在、言語学の潮流において影響力の大きい類型論における現在完了形に対する見解の誤謬を発見した。3.この副産物として、完了形構文におけるbe動詞とhave動詞の意味特性が洗い出せた。本研究はもともと英語の現在時制に関する長期projectの一部として、現在完了形と時制との関わりを明確にすることを目的の一つとしたものであるが、Drinka(2003)の欧州諸言語における性質の異なる完了形の分布地図や、ドイツ語完了形における9世紀からの通時的変遷の克明な分析等、有益な知見をもとに、欧州語の完了形における英語の完了形の通時的かつ共時的位置づけが、時制機能との関係においても、少しずつ明らかになった。今年度の成果は、本研究の基礎的研究である時制に関わる部分は裏面記載の単行本の一部、それと現在完了形のhaveとの関係については論文一遍、現在完了形のhaveプロパーについては3月26日の福岡認知言語学会での口頭発表という形となった。現在、そこからのフィードバックをもとに、新たな国際及び国内の学術雑誌への投稿論文を執筆中である。15年度は殆どを旅費に費やし、16年度は殆どを書籍に費やした形となった。
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九州工業大学情報工学部紀要(人文・社会科学) 第18号
ページ: 1-50
Bulletin of the Faculty of Computer Science and Systems Engineering, Kyusyu Institute f Technology 第17号
ページ: 9-41