研究課題
本年度も、概略交付申請書通りに研究を進め、前半迄で、3年間の目標として掲げた目標をほぼ達成し、年度後半は、現在完了形を構成する、1)助動詞HAVEの意味特性が、本動詞HAVEの意味特性の拡張形で、過去分詞の出来事の生起を介し間接発話的に意図される発話者の保持する状況にあること、2)BEとの対照、及び、3)単純現在形、現在進行形、現在完了形の英語の現在形に共通する、現在時制の形態素の、発話の場を指定する意味役割を具体的に出来た。1)については、第9回国際認知言語学会(於韓国、ソウル、延世大学)で、2)を加えたその発展形を、日本英文学会九州支部第58回大会(於長崎、長崎大学)で発表した。国際認知言語学会ではクロアチア語の完了形研究者(Be-perfectが過去を表す言語)と議論ができ有益であった。これまで、欧州西側に偏在しているHAVE-Perfectの意味は、a past with current relevanceだとする見解が主流であったが、完了形の意味の過去への変化は、12世紀仏のパリに始まり社会文化の伝播と共に特に13〜16世紀西・南ドイツに広がり浸透し、欧州中央に徐々に広がった局所的現象であり(Drinka:2003)、Norway語やSweden語等には及んでおらず、英語は地理的に歴史的にも影響やその伝播現象の外側にあり、後期古英語の時代から変化がない事実を裏付けるもので、過去を意味すると考えるべき必要性は外的にない。内的には、HAVEが、談話上の発話の場という、流れ去ってしまい文脈から切り離すと見えにくい意義を担う為、過去分詞の意味のみが完了形の意味に見えてしまうと主張し、使用文脈観察を通して洗い出した。単純現在形、現在進行形、現在完了形に共通する英語の現在時制形態素の意味を、IMMEDIACY(事態認知完了の瞬間と同時に生じている事態)と、(認知文法で言う)IMPERFECTIVITYの二つと捉え、それを敷衍する為、これまで特殊用法とされてきた歴史的現在、及び「語り」に現れる現在形現象を分析し、英語青年2005年12月号、紀要論文に発表した。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
九州工業大学情報工学部紀要(人文・社会科学) 第19号
ページ: 1-50
9th International Cognitive Linguistics Conference : Language, Mind and Brain 9号
ページ: 349
日本英文学会九州支部大会第57大会 57号
ページ: 7
英語青年 第151巻・第9号
ページ: 530-533(14-17)