研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、現在では知ることのできない過去の口語英語表現の諸相を探ることにある。近代英語でどのような「呼びかけ語」(Vocative)がどんな機能で使われていたのかを、コーパスをつかい、歴史語用論の見地から探ろうとした。データには17,18世紀の演劇テキストを集めた12万語のコーパスを使用した。従来の「呼びかけ語」研究では、語用論的機能は十分に研究されていないので、ディスコース・マーカーとしての「呼びかけ語」の機能を再検討し、これまでの呼びかけ語研究の集大成をすることを目標に研究をまとめた。研究の成果は、国内外の言語学関連の学会にて発表した。平成15年度は、分析のデータとして使うコーパスの編集、データづくりを第一目標とした。アノテーションを書き込んでコーパスを完成させ、今後の研究でデータとして使える状態にすることを課題とした。またそのデータを使って量的な分析をして、その時代の一般的な傾向を通時的にみた。平成16年度は、初年度に作成した標示付きコーパスを使った量的分析をもとに、質的分析をすることを中心に研究を進めた。一般的パターンから外れた特殊な「呼びかけ語」使用を、文脈なかで語用論的、文体論的に分析した。話者・聞き手のジェンダー、年齢、階級、役割が、「呼びかけ語」の選択にどう関係するか、一般的な使用パターン・法則を探るとともに、その法則に反する例を取り出した。各々の「呼びかけ語」の頻度とコノテーション、発話内での位置と語用論的機能、とくに「呼びかけと」と特定のディスコース・マーカーとの併用と、それによるさまざまな語用論的役割については、いくつか新しい発見があった。
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The Writer's Craft, the Culture's Technology: Papers from the Poetics and Linguistics Association International Conference, Birmingham 2002(Caldas-Coulthard, C.R., Toolan, M.(eds.))(Amdterdam : Rodopi) (forthcoming)
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