本年度は研究期間の最後の年であるので、国内外での資料収集に加えて、3年間の研究成果のまとめに費やした。まず、資料収集のために、日本英語学会を始めとする国内の英語学・英語教育関係の学会・研究会にできるだけ多く参加した。加えて、8月28日より9月5日まで、カナダのブリティッシュコロンビア大学(バンクーバー)およびマギル大学(モントリオール)の大学図書館にて、ジェンダー関係の資料収集を行った。これまで収集した資料を基にして、「manとchairmanの語法」(pp.14-20)を『英語語法文法研究の新展開』(田中実・神崎高明(編))に発表した。なお、『英語語法文法研究の新展開』は田中実氏と筆者による共同編集の形で出版された。 女性の地位向上を求める運動は1960年代の後半にアメリカを中心に盛んになった。その結果、英語は語彙面で様々な影響を受け、従来使用されてきたことばの使用頻度が少なくなったり、新たにことばが生まれたりしている。「manとchairmanの語法」論文では、近年のフェミニズムの影響によって、manおよびその複合語のchairmanがこの30年余りの間にどのような意味変化を被ってきたかをBNCなどのコーパスや筆者が採集した資料を使用して詳細に論じた。 また、筆者は小西友七(編)『現代英語語法辞典』(三省堂)(2006年4月発行)の68項目を担当した。この担当部分のなかにも、今回の研究成果の一部が含まれている。
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